IPv6とv6プラスは何が違うのでしょうか。
どちらも似たような名前で、いまいち違いが分かりづらいんですよね。
実は決定的な違いがあって、知らずに契約してしまうとある条件下では、Webサイトの閲覧ができなくなってしまいます。
そこで今回は、IPv6とv6プラスの違いについて、分かりやすく解説していきます。
IPv6とv6プラスの決定的な違いとはIPv4接続の可否
インターネット利用者側にとってIPv6とv6プラスの決定的な違いは、「IPv4への通信ができるか・できないか」といった違いでしょう。
- IPv6:IPv4のIPへアクセスできない
IPv6のみに対応したインターネット契約をしてしまうと、IPv4のIPアドレスで作られたWebページが見られなくなってしまうんですね。
とはいっても、IPv4とIPv6という言葉の意味がよく分かりませんね。
そこでIPv4・IPv6・v6プラスについて、
それぞれの意味や関係性について詳しく紹介していきます。
IPv4通信は旧来のIPアドレスのこと
IPv4はInternet Protocol Version 4(インターネット・プロトコル・バージョン4)の略で、昔から使われているインターネットのIPアドレスのことです。
インターネットを使いたい人が「IPv4:IPアドレス(インターネットを利用するための土地)」を取得することで、インターネットを使えるようになります。
※ IPアドレスとはInternet Protocol Address(インターネット・プロトコル・アドレス)の略で、コンピューターを識別するために付与される番号のことです。
そのためIPv4は、インターネットによって世界中で広く用いられている技術と言えます。
IPv4のIPアドレスは枯渇状態に
IPv4は32bit(32桁)で構成されていて、3桁ずつドット(.)によって4つに区切られて表されます。
1981年9月に現在のIPv4のもとになる仕様が公開され、現在のインターネット通信の主流となっています。
公開当時、使われているコンピューターの処理能力が32bitが適切だったため、約43億個のIPアドレスしか準備されませんでした。
IPv4通信の枯渇問題
しかし、WindowsPC等の普及によりインターネット利用者が爆発的に増え、2011年2月3日にはIPv4アドレスの中央在庫が完全に枯渇してしまったんですね。
インターネットドメイン管理団体のIANAやICANNなどが2月3日、IPv4アドレスの中央在庫の割り振りがすべて終了したと発表した。中央在庫は完全に枯渇したことになる。
IPアドレスが枯渇するとどうなるのかというと、
- IPアドレスが取得できない
=インターネット通信できない
といった状態に陥ってしまいます。
この問題を解決するべく誕生したのが、「IPv6」という新しいIPアドレスです。
IPv6通信は新しいIPアドレスのこと
IPv6はInternet Protocol Version 6(インターネット・プロトコル・バージョン6)の略で、IPv4の枯渇問題を解決するために開発されたIPアドレスです。
IPv4が不足することが1991年7月に発表され、1995年1月にIPv6※が誕生しました。
※IPv6の主な仕様が確定したのは1998年12月です。
開発されたというよりは、IPアドレスを増やすための措置で誕生したわけですね。
IPv6のIPアドレスの内容を見ることで、IPアドレスが増えた理由が分かります。
IPv6のIPアドレスはほぼ無限にある
IPv4は32桁で構成されたIPアドレスですが、IPv6では128桁で構成されており、16桁ずつコロン(:)によって8分割されて、16進数で表されます。
IPv6は上記のような128桁で構成されたIPアドレスで、その組み合わせ数はなんと340澗個(かんこ)。
全世界の人口1人に1つIPアドレスを渡したとしても、一生かけても使い尽くせない数のIPアドレスの数になります。
そのため、IPアドレスがなくて、インターネットが利用できなくなる問題が見事に解消されました。
IPアドレスの枯渇問題は、プロバイダ(ISP)に供給するIPアドレスが枯渇していることを指します。
しかしIPv6の普及と同時に、あるデメリットも浮上してきました。
IPv6のデメリットがv6プラス誕生のきっかけに
順調に普及するはずのIPv6でしたが、実は致命的な問題があったんですね。
IPv6の致命的なデメリット
そのデメリットとは、IPv4とIPv6には互換性がないことです。
IPアドレスという概念は両者とも同じなのですが、そもそもIPアドレスの数が違いすぎて対になりません。
- IPv4:およそ43億個
- IPv6:およそ340澗個
このように各者の絶対数が違うため、お互いに直接通信することができず、
- IPv4ではIPv6のWebが見られない
- IPv6ではIPv4のWebが見られない
といった現象がおきてしまいます。
そのため、今までIPv4のIPアドレスを取得して通信していた人は、IPv6のIPアドレスで構築されたWebサイトなどを見ることができないんですね。
普段見れていたサイトが見れなくなってしまうのは、かなり致命的なデメリットと言えるでしょう。
そこでIPv4とIPv6がお互いに通信できるように、「トンネリング」という仕組みが生まれました。
v6プラスはトンネリング技術で新旧のIPにアクセスができる
トンネリングとは各IPアドレスの通信データを、擬似的にカプセル化して搬送する技術のことです。
ネットワーク技術におけるトンネリングとは、インターネット等のなんらかのネットワークで接続されている、物理的and・or論理的に離れた2点間を、仮想の回線(トンネル)によりあたかも同一点であるかのように扱えるようにすることである。
v6プラスはこのトンネリング技術を要し、IPv6の通信でIPv4のインターネット通信ができるように設計されたんですね。
ちなみにv6プラスという名称は、日本ネットワークイネイブラー株式会社(JPNE)によるIPv4/IPv6インターネット接続サービスの総称のことを指します。
日本ネットワークイネイブラー株式会社(以下、JPNE)は、世界的なIPv4アドレス枯渇問題の対応策である、IPv6アドレス普及を日本で実現させるべく2010年に立ち上がった電気通信事業者です。
具体的なv6プラスの技術として代表的な「IPv6 IPoE」と「IPv4 over IPv6」について、特徴を説明します。
IPv6 IPoEとはISP認証を含まない通信技術
もともとIPv6接続サービスには、
- PPPoE方式(IPv6 PPPoE:トンネル方式)
- IPoE方式(IPv6 IPoE:ネイティブ方式)
といった2種類の接続方式があります。
① IPv6 PPPoE方式(トンネル方式)
PPPoE方式は「PPP over Ethernet」の略で、Ethernet上にPoint to Pointセッションを作り、ISP(プロバイダ)によるユーザー認証を行なってインターネットを行なう技術です。
IPv6接続サービスの1つなのですが、PPPoE方式ではISPによる認証というワンクッションが入るため、インターネット接続が速くなるわけではありません。
またIPv6 PPPoE方式に対応させるため、ルーターなどへIDやパスワードなどの設定を行なう必要がでてきます。
② IPv6 IPoE方式(ネイティブ方式)
IPoE方式は「IP over Ethernet」の略で、ISPの認証を行わずにインターネット通信ができる技術です。
プロバイダによる認証が不要ということは、ワンクッションがありません。そのためIPv6 IPoE(ネイティブ)方式であれば、ネット通信が速くなります。
さらにIPv6 IPoE方式であれば、ルーター機器へのID・パスワード設定が不要です。
ネット通信が速くなり、設定が簡単というのはIPoE方式のメリットであると言えるでしょう。
ではIPv4 over IPv6という技術はどういったものなのでしょうか。
IPv4 over IPv6とは
IPv4 over IPv6とは、IPv4の通信データをIPv6の通信データに変換する技術のことです。
ここで言う変換は「カプセル化」と呼ばれ、
- IPv4の通信データを擬似的にIPv6化することにより
- IPv4でしか見られないWebサイトも閲覧することができる
ようになる技術のことを指します。
具体的に以下のようなイメージです↓
v6プラスは良いとこどりな通信規格
ここまで説明した
この2つを合わせた技術がv6プラスです。
そのためv6プラスはトンネリング技術の良いとこどり、つまり
といったインターネット通信を利用する側にとって、たくさんメリットがある規格なんですね。
例えば今まで利用していた光回線では、ルーターが高性能でも夜になると遅くなる事象が起きがちです。
しかしv6プラス対応の光回線サービスを利用することで、夜でも高速・安定したインターネット通信を行うことができるようになるということですね。
これから光回線サービスを申し込むのであれば、v6プラスに対応しているか否か、選ぶ基準の1つとして覚えておくことをおすすめします。
まとめ 〜v6プラスを導入しているプロバイダがおすすめ〜
今回はIPv6とv6プラスの違いについて、紹介しました。
IPv6とはIPv4に代わる新しいIPアドレスで、v6プラスとはトンネリング技術の名称ということが分かりましたね。
まとめると、
ということです。
v6プラスに準じたサービスであれば、速くて簡単で時間帯関係なく快適なインターネット通信が可能となります。
もしこれから光回線など申し込むのであれば、>>v6プラスサービスを提供しているプロバイダにて契約を検討されることをおすすめします。